2023/11/19 00:05
今回は、当店の訳あり品についてお話ししたいと思います。(長文です)
皆様は、訳あり品と言うとどのような印象を持たれるでしょうか?
以前、お客様より「ANOKHIでも、訳あり品ってあるんですね!」と驚かれた事があるのですが、あります。。
老舗ブランドのANOKHIでも、いえ、むしろANOKHIだからこそあるのかもしれないと最近は思っています。
と言うのは、ANOKHI製品はそのほとんどが手作業によって作られているからです。
人の手によってひとつひとつ作られる為、機械製品のように全く同じ物を量産できませんし、専門の職人と言えど、やはり人間ですので機械の様に完璧ではありません。
又、ANOKHIはインド各地の伝統技術や小さな村の仕事を守る為、生産を分散化しています。
例えば、ドレス一つ作るのにも、デザイナー、パタンナー、木版職人、染色・ハンドブロックプリント職人、縫製職人、タッセルリボン職人、キルト製品であればさらにキルト職人等が関わっており、製品となった後はANOKHIの工場から各店舗スタッフへとたくさんの人の手に渡ります。
その過程で傷や汚れがついてしまう事もあります。
そしてそれぞれの職人の仕事はとても緻密で繊細です。
ANOKHIのテキスタイルのファンの方なら、ANOKHIの魅力的なデザインが、他のハンドブロックプリント製品には無い色使いやデザインである事を良くご存知かと思います。
「アノーキとは、ヒンディー語で"卓越した"という意味を持ち、創業者夫妻の時代から、インド伝統の木版更紗を西欧のファッションビジネスで評価される水準にまで高める努力をしてきました。それは注文と売上が上がる事で職人たちの生活を守る事ができるからです。」⑴
だからこそ、どこか西洋のテイストを感じる洗練された唯一無二の美しいテキスタイルなのですね。
今ANOKHIのデザインを担っているのは、創業者夫妻の義理の娘、レイチェル氏です。
彼女はロンドンでアートとデザインの学位を取った後、木版更紗を学ぶためにインドに渡り、創業者夫妻の息子ペイタム氏と結婚。今では「ANOKHIのヘッドデザイナーとして、製品サンプルと木版のアーカイブ作りにも力を入れています。」⑵
しかしこの美しいデザインを、木版を手で押して再現するにはとても高度な技術を要します。
もちろん請け負っている工房は老舗中の老舗です。
もう何世代も続いている家系の一流の職人です。
それでも、木版のずれや染料のシミ、色ムラなど全くなく仕上げる事は不可能です。
又、スカーフやストール類など、もともと繊細な生地を使っているものは、そもそも訳ありと言うべきかどうか迷う事もあります。
ANOKHIのスカーフやストールを手にされた事のある方は、軽やかで柔らかく、とても繊細で上質なコットンである事をお分かりいただけると思います。
西ベンガル地方で手織りされたカディコットンを使った透かしストライプの生地も同様です。
これらの素材は、繊細が故に、生産過程でどうしても糸引きやネップなどできやすいものです。
さらにたくさんの人の手を経て私達のもとへやって来る為、無傷(?)の物の方がむしろ少ないのです。
もしかしたら、当店は他のショップ様に比べて訳ありと付く商品が多いかもしれません。
わざわざ【訳あり】としなくても、"インド製品だから"、"手仕事だから"と文末に一律で注意書きを載せればいいのかもしれません。
でも私は、自分が購入する立場だったら、ここはきちんと知った上で購入したいと思うところは明記したいと思っています。
その反面、アウトレット製品も大好きです!
少々難があっても、その難に納得でき、デザインが気に入るものだったら、安く手に入って嬉しいと感じます。
その為、当店では私の目で見て、これは気になると少しでも思ったものは、必ず明記し、定価にはできないものは値下げしております。
そして私と同じように、少々訳ありでもこのくらいの訳ありならかえってお買い得!と思って下さる方がいらしたらいいなぁと思っております。
当店ではANOKHIの訳あり品だけを集めたコーナーがございます。
トップページ→カテゴリ→ANOKHI→ANOKHIアウトレット(訳あり)商品
このコーナーにあるルームウェアなど、ミシンをお持ちの方でしたら(もちろん手縫いでも)ささっと繕える程度のほつれで、(ANOKHIのほつれは、ほとんどこの程度の軽微なものです)定価より5,000円以上下げているものもございます!
デザインがお好きでしたらかなりのお買い得品となっております。
是非掘り出し物を見つける感覚でご覧いただけたらと思います。
当店では、これからも【訳あり】品がたくさん登場するかもしれませんが、ANOKHI製品が上質で繊細な素材が多い事、たくさんの職人によって生産が分散されている事、高度な技術を持った職人でも難しい、緻密な手仕事ゆえの事情がある事をご理解いただけましたら幸いです。
又、検品にとても時間を要する為、なかなか新商品のアップが追いつかずお待たせしてしまい申し訳ございません。こちらもご理解いただけたらと思います。
⑴、⑵参考文献
書籍名:「インドの更紗手帖」
出版社:誠文堂新光社
著者名:田中敦子
